2011年11月15日火曜日

平成23年11月15日(火) 晴れ

本日早朝、ブータン国王夫妻が来日した。ブータンはヒマラヤ山麓にあり北側を中国、南側をインドに挟まれた国で、面積は九州とほぼ同じ、人口は60万人たらずの森に囲まれた小国だ。平均所得は日本の50分の一という世界の中でも貧しい国と位置づけられている。

しかし国民に対するアンケートでは97%の人が「私は幸福です」と驚愕の回答をする国でもある。

これは政府が打ち出しているGNH政策(Gross National Happiness)によるところが大きい。国民総幸福という指標だ。政府のシンクタンクであるブータン研究所のオピニオンリーダーのカルマ・ウラと作家の五木寛之の対談を以前テレビで見た。

カルマウラ氏の話を要約すると

「幸福はひとりでは有り得ない、人と人との関係の中でしか幸福は有り得ません、その考は
仏教に根ざしています。幸福と言うことは仏教的に言えば悟りを得ることに近いといえます。


の人が不幸な状況にある中で自分だけが幸福であるということは有り得ない。欧米的な
考えでは生活が良くなれば人は幸福になれるといいます。確かにそれは社会的な進歩には
違いないでしょう。


しかしそれは仏教から言わせれば非常に低いレベルの話です。食べることに困らないとか人権を侵しませんというような事だけでは決してみんなが幸福になるとは思えません。


っと上を目指して行く必要があると思います。そのためにはまず、人と人との関係を改善してゆく事が重要です。他人の幸せなしに自分の幸せもないのですから。


何をもって社会の進歩を計るのかといえば、人間関係の改善こそ進歩の尺度にすべきだと
思います」

そして2008年交付された新憲法


第3条:精神的財産  仏教はブータンの精神的財産であり中でも平和、非暴力、同情、寛容の原則と価値を奨励するものである。


これって昔の日本が持っていたものばかりではないか。三月の震災の非常時に少し発揮され世界が驚いたばかりだ。


戦後、日本はすざまじい速度で近代化を果たし世界経済を大きく動かしてきた。しかし経済に目がくらみあらゆるものを欲しがった国家も人も。

あげく、子や孫の貯金箱に手を突っ込むという1000兆の負債を抱え右往左往している。気の毒にこれから生まれてくる子供は生まれたときに2000万以上の借金を抱えている計算だ。

今日本のあちこちで起きている家族間の痛ましい事件、孤独な若者の暴発的な犯罪、ひとり暮らしの老人問題、われわれが得たものは何だったのか、大きい代償を払わされているような気がしてならない。

ブータンをちっぽけなどうでもよい国と思ってはいけない。




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