2013年1月19日土曜日

平成25年1月18日(金) 晴れ

きのう亡くなったJ尾は去年ほとんどの持ち物を生前遺品整理という形で処分してたので、その後私の家で暮らした四ヶ月余りは、まさに仮寝の宿だった。預かっている物はわずかな衣類と、もう使うことはないがこれだけは最後まで残しておきたいと言ったビデオカメラだ。今はデジタル化が進みそのアナログカメラもすでに陳腐化してはいるが、彼を彼たらしめた身体の一部といってもよいであろう。

カメラは肩に載せるとずしりと重い。ファインダーから見える世界はプロカメラマンと同じ視野を体験できる。

リビングの一角に私なりの祭壇を設けた。本人は儀式ばった事は好んではいなかったが、それはたいていの人の本音である。緊張の伴う嘘くさい儀礼は万人の好むところではない。しかし人の世は避けて通れぬ事がたしかにあり、私が彼を追悼し彼の尊厳に対し敬意を表する事を形にするのは彼も許してくれると思う。

親族の方もすでに到着しているが、開かれた形での通夜や告別式は執り行わないので今日はホテルで待機されている。なので今日の夜は、私たち夫婦で個人的な通夜をする。

何だか用意していたみたいだが、そうではない。思いついて家の仏壇の道具を一時的に流用したものだ。ほんの十日前まで家のリビングで談笑していたので、彼の写真を飾るとき、たちの悪いいたずらをしている気分になったが、それは冗談ではなく現実であることが限りなく哀しい。


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