2012年9月1日土曜日

平成24年8月31日(金) 晴れ

八月は今日で終わりだ。私の個人的な誕生日もありオリンピックありで賑やかな月だった。

思い立って府中のシネコン、TOHOシネマズに高倉健主演の『あなたへ』を観に行く。府中のTOHOシネマズは「くるる」という商業ビルの中にあり、映画の客は地下駐車場が三時間までは無料で利用できる。なので映画を観るときはここを使うことが多い。家からドアtoドアというのは楽だ。

家から車で甲州街道を西へ十五分で到着。10:50の上映に間に合った。


有人のカウンターもあるが、タッチパネル式の発券機がメインになっている。高齢者は操作が判らず係の人が付きっきりになっている。今回私はシニア券を購入したが入場の際、年齢確認を受けなかった。まさか確認の必要がないほど老人に見えたというわけではないと思う。チケット確認の係が見落としたのだろう。8番スクリーンに向かう。入ると7割ほど埋まっている。平日の午前上映でこの入りはすごい。それは別にしてこの映画の入場者にはある偏りがある。それはカップルが多いのである。中高年カップル、それもかなり高年寄りのご夫婦と見受けられるお二人が多い。まあ他の観客もほとんどが中高年ではある。見渡した限り三十代も含めて若者は皆無で、「お達者クラブ」にいるみたいな空気が会場を支配している。何か場違いの所にきてしまったような気分になったが若者から見れば私もその中に融けているのだろう。それはいいとしてこの空気の中何か少し嫌な予感がしていた。

映画が始まるころには私の両隣も埋まっていた。始まって間もなく右隣に座った、おばさんよりも、もう少しお歳を召したご婦人が何やらごそごそと持ち物を探っている。そしてセロハンが擦れ合う音が聞こえ始めた。おにぎりらしい。それも何か味付きのようでニオイが伝わってくる。上映中に隣でセロハンの擦れ合う音は耳障りだ。加えて空腹ではないが食物の匂いを半強制で嗅がされるのは不快である。気が散って仕方がない。しばらくするとペットボトルのお茶とおぼしき飲み物を飲み始めた。ムシャムシャしてグビリ、セロハンの音、またムシャムシャしてグビリ、「止めて下さい」とは言えぬのでなるべく気にしないようにしていたが、おにぎりが終わると、ごそごそとまた何か始めた。

今度は冷房が寒いのか座席に脚をあげバッグの中から出した靴下を履いているようだ。そのがさごそは場内には響かぬが隣席の見ず知らずの他人には十分迷惑である。気が散ってこの間、映画がまったく頭に入ってこない(泣)。
それが終わったら……またおにぎりを食べ始めた(号泣)。

枕が長くなったが肝心の映画は最後まで醒めて観ていられた。というのは結果的に作品に感情移入ができなかったのだ。監督の降旗康男が撮る高倉健は以前からPV(プロモーションビデオ)的な映像になるのであまり好きではなかったが、今回の作品で私はもうこの監督の撮った高倉健を観ることはないと思った。お二人の年齢的に次があるかどうかは分からない。

本作の健さんの台詞回しはもどかしい。私が知っている健さんは息を溜めて腹でセリフを言うのだが、本作はセリフを言うたび空気が洩れているような感じがして観ていてつらくなった。ところどころで往年の健さんの面影が混じるが全体の印象は、高齢者によくみる太腿の細くなった体の老いた健さんだった。家には健さんの全盛時代のDVDを何本か所有している。その健さんは永遠に格好いいスターである。

世代は代わる


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