2012年11月18日日曜日

平成24年11月17日(土) 曇りのち雨

家できのうの赤カブの葉っぱの炒め物をする。苦みがあっておいしい。大根の葉よりおいしいと思う。

蕪と合わせ自家製〆鯖を食す。「食す」と書くと、とたんに永井荷風か池波正太郎の気分になる。地味な食材を肴に一杯飲むのは小粋である。小粋と言うのは、粋に小という抑制の副詞をつけることで、粋も度を過ぎると野暮になりますよという戒めの美意識を表現していて、小ざっぱりや小膝をたたくの〝小〟と同じ用法である。


店では瓶で出しているが家で飲むときは瓶の扱いがめんどうなので缶にしている。毎秋恒例の限定品だ。今年収穫された新鮮な遠野産ポップの一番搾りである。遠野という響きは東北地方の伝承民話を記録した柳田国男『遠野物語』の影響で何か不思議な土地の印象がある。柳田国男は日本民俗学の基礎を固めた祖であるが民俗としての性や被差別民など意図的に忌避している研究もあり後発の宮本常一などにより補完されている、とwikiに書いてあった(笑)。いずれにしても両者は脚で歩くフィールドワークに重きを置いている点では共通である。

たまたま所有の宮本民俗学・旅の記録
ついでに知ったのだが宮本常一は『イザベラ・バードの「日本奥地紀行」を読む』(平凡社ライブラリー)という解説書を書いている。でたまたま持っていたのがこれだ。


これは面白かった。明治初期ひとりのイギリス人女性が東京を発ち東北、蝦夷と周る旅の記録だ。外国人としての彼女の偏見も散見するがそれは仕方のないことであり現代の私たちには十分理解できる。当時の日本の習俗を自分の眼で見たまま詳細に記録している点で優れた紀行文である。
女性が書いたものでルース・ベネディクト(米)『菊と刀』(The Chrysanthemum and the Sword)という有名な日本文化論があるが、彼女は日本に来たことはない。イザベラ・バードは自らの脚で歩いたのである。

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