平成24年6月12日(火) 雨
二本のDVDを観た。『ぼくのエリ』と『モールス』。実は原作は同じ映画で制作年度と制作国が違う。
『ぼくのエリ』はスウェーデン作家の原作者が脚本を書いた2008年スウェーデン映画。『モールス』はハリウッド版リメイク作品で2010年の制作。
どちらが良かったという評価はよほど作品に落差が無い限り好みの問題だ。私にはどちらも持ち味を出していて楽しめた。
物語は、ある雪の日いじめられっ子の少年の隣に初老の男と少女が夜、人目を忍ぶように引っ越してくる。少女は靴をはいていない。
12歳の同じ歳の二人はしだいに親しくなり寝る時はベッドの壁越しにモールス信号で会話をするようになる。
やがて静かな田舎町に不可解な殺人事件が続き、少年は隣人の親子がそれに関わっていることを感じる。
ここからはネタバレになるので、それでも良いと思う人以外は、ただちに読むのを止めることを奨める。
少女はずっと昔から12歳のままで歳を取らないバンパイヤで、父親と思われた付き添う男は彼女の世話を長い間続けている年老いた青年だった。物語の途中でこの老人も死ぬ。
終わりのない流浪の旅、さすらい漂流するしかない邪悪な存在は、少女のイノセントな透明感があるだけに切ない。
少年に対する学校でのイジメの伏線ががラストに近いプールの場面で回収される。
これだけで十分なネタバレだが予備知識があっても鑑賞に堪えると佳作と思う。事実私が観た二本目は既視感はあったが楽しめた。
映画の原題は『Let right one in』と『Let me in』でどちらも「私を招き入れてください」という意味であるが『Let right one in』は正しき者という表現で深みを持たせている。
この映画で見落としてはならないのは少女が少年に対していうセリフ「女の子じゃない」というくだりで、私はバンパイアであって普通の女の子ではないという意味に解釈しても成立するが、原作では私の想像を超えた残酷な背景があった。これはここには書けないが、実は男の子だったという単純なことではない。
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