一羽のコサギがいて川の中でじっとしていた。コサギは真っ白なので普通に写真に撮ると白がベタにつぶれて羽毛の柔らかな感じがうまく出ないことが多い。
一眼レフの望遠で寄せて撮れば、それは綺麗に撮れるだろうがコンデジでは近くに寄ってもこんなものだ。動物には本能で逃走限界距離がそれぞれ備わっており、こちらが近よろうとしても、磁石の同極同士の反発のように一定の距離以内に達するとすーっと遠ざかっていくのが常だ。
これでもこの個体は距離を置いてはいるものの、向こう岸近くでじっとして逃げる様子はなかった。
私は狙ったわけではないが驚かさぬように座ってなにげなくこの一羽を観ていた。しばらくこちらも動かないでじっとしていると、思い切ったように向きを変えこちらに向かって来た。
向こうから近づいてくることはまずない事であるし、カメラはスタンバイしていたのでシャッターを押した。だんだん近づいてくる。
そうしてこちらの岸辺近くまできて、私の目の前で水の中に頸を入れた瞬間、嘴に魚を咥えていた。
![]() |
すべての写真はクリックすると大きくなります |
ウグイだろうか、オイカワのメスだろうか、コサギ君に拍手~鮮やかなものだ。喰われる方は気の毒だが(笑)。よく向こう岸から反射する水面下、こちらの足元に魚がいることが判るものだ。
偶然居合わせた瞬間の写真だが、数秒後には呑み込んでいて何事もなかったように遠ざかっていった。
この場合、観ていたのがもし私ではなく猫だったら、このコサギはどうしていただろう。おそらく獲物を諦めたのではないか。経験的に人間ならまあ何とか大丈夫だろう、という獲物の魚と自らの危険をバランスに掛けたのだと思う。投資とリターンの判断を瞬間的に行っていたのだ。したたかですなあ。虎穴に入らずんば虎児を得ず、を実践している。
自然の中で生き抜くことは瞬間瞬間でギリギリの判断をして、眼前のイシューに対してデシジョンするビジネスそのものである。コサギからも学ぶところはある(笑)。
0 件のコメント:
コメントを投稿