今日から七月だ。世界遺産登録となった富士山の山開きとそれに駆けつけた多くの登山客をニュースが流している。昨今の登山ブームで去年の富士山も大混雑だったみたいだが、今年はすごいことになりそうだ。
環境保護から見れば入山規制したほうがよさそうだが、地元への経済効果などお金が絡んでくると話はややこしくなりそうだ。
私は一度だけ八月の富士山頂に登ったことがある。今から30年以上前だが、近年危険視されている、弾丸登山だった。当時はそれが普通だった。新宿をたしか夜七時くらいの高速バスで、山梨の吉田口まで直行便で行き、着いて直ぐ10時くらいから登り始める。そのまま個人差があり6~10時間ほどで頂上に達し、ちょうどご来光を拝めるという段取りだ。まあ当時若かったから、なんともなかったが、でも、けっして富士登山は楽では無い。
頂上付近は酸素濃度が平地の約6割なので八合目を過ぎてからは、息が上がり一歩一歩がとても重くなる。ちなみに貧血気味の人はつらいと思う。酸素濃度が低いのでヘモグロビンがフルに活動しても足りないからだ。
加えてこの八合目が長いのだ。八合目を過ぎてから次の標識を見ると、本八合などと書いてあって、行けども行けども八合目なのだ。これは気持ちが萎える。
それでも九合目を過ぎると、もう頂上は見えているのだが、これが遠い。登山道の傍らにはバテて座り込んで休憩している人が多くなる。累々たる屍をかき分けるような状態である。山頂を目指す人の登頂率は50%、多くでも2/3とも言われている。結構厳しいのだ。頂上付近は夏でも長袖セーターが要るほど気温が下がる。舐めているとエラい目に遭う、と言うか天候次第では簡単に死ぬなあと実感する。
途中でビニール袋に酸素を入れて売っている人がいたなあ。買わなかったが、ちょうど中学生がイタズラでシンナーを吸ってるような格好になる。下界でやれば確実に間違われる。今は携帯用の酸素などがあり自衛できるが、当時はまだそんな時代だった。
そういう思いをしてやっと、頂上に着く。ご来光の神々しさは圧巻のひと言ですね。筆では表現できません。
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