2013年7月19日金曜日

平成25年7月18日(木) 晴れ

ホーチミンシティの次男から依頼があり、在日ベトナム大使館に行く用事ができた。ベトナムで三ヶ月以上仕事をするには、労働許可証が必要で、彼は昨年からすでに現地に赴任しているが、その事務手続きがまだ終わってなかったようだ。運転免許証と同じで、何かトラブルがなければ、提示を求められる事はないだろうが、ルールは遵守しなければならない。

在日ベトナム大使館の認証が必要な書類があり、代理で出かけた。場所は渋谷区元代々木で、代々木八幡と代々木上原の北側の中間、山手通りの西側辺りで、瀟洒な住宅街だ。

この辺りは、青山で仕事をしていた時代にバイク通勤の抜け道で使っていたので、頭の中に地図が出来ていて、念のためGoogleストリートビューで確認をしてから行ったので、迷わず着いた。記念に写真を一枚撮る。こういう場所であからさまに何枚も撮影すると、怪しまれて、連行されるという映画みたいな光景が一瞬、頭に浮かんだので、一枚だけにしておく。「李下に冠を正さず」である。


着いてみると、正門が開いていて、タクシーが停まったり何やら人が集まってくる。建物の入り口には受付のようなものがあり、どうやらこれから、大使館主催の会合があるみたいだ。皆さんこの暑いのに上着着用でかなりフォーマルな雰囲気だ。

全く関係の無い私だが、こちらにはこちらの用事があるので中に入っていった。受付の方は日本人の男女二名でこの会合の関係者だったが、全くの部外者だった。大使館関係者ではないので、彼らは事務関係のことは全然わからない。仕方ないので、中に入って行きベトナム人とおぼしき女性に声をかけてみた。

怪訝な表情でこちらを見ている。たしかにこのフォーマルな雰囲気の中、ポロシャツにサンダル履きの場違いな空気を全身からまき散らしているおっさんは、どうみても変な奴に見えるだろう。私はベトナム語は、一ミリも解らないので、日本語と英語で訊ねてみたら、私の用件は理解してくれたようで、「待ってください」と言って、奥に消えた。

・・・・・・10分経っても戻ってこないのだ、彼女が。

すでにレセプションホールでは日越友好の会議が始まっている。ホールのドアが開いているので中の様子は見える。中央のスクリーンにプレゼンしながら交互にスピーチをしている。このロビーで、私ひとりだけが、これ以上はない完璧さで浮いている。

考えてみると、今時ゆるいセキュリティである。日本とベトナムは緊張した関係ではないのでのんびりしているのだろう。それでも、私が立っている場所は相手国の出城であり、日本の法律の及ばぬ治外法権域である。

見渡しても事務サービスを受けているような場所もなく、さっきのお姉さんもどこかへ消えたままだ。なにやら釈然としないが、少なくともここで、私が求めている事務手続きが行われてはいないようだ。では、どこでその事務手続きをしているのか?話を聞ける相手もなく、これ以上は時間が潰れるばかりなので、今日は謎のまま引き揚げる。手強いぞ、ベトナム大使館。

帰宅して冷静に考える。大使館というのは国を代表して外交をする役目だ。そして、査証やパスポート、許可証など事務処理は領事部が行っているはずだ。それに、普段は大使館の正門が無防備に開いているはずがない。たまたまのタイミングで私が闖入してしまったのだ。領事部はどこか別の入り口なりエントランスがあるのではないだろうか、と考えた。

もう一度Googleストリートビューを丹念に見る。何やら建物の角を回った辺りに、小さい表示板のようなものがあり、入り口のようなものも確認できる。ドラクエでダンジョンの秘密の入り口を見つけた時と同じである。まったくもう、こんな所に隠してあるなんて、の気分だ。

確証はないが、他にないでしょ、もう。明日確かめに行く。今日はこのくらいにしといてやる。

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