夢を見ていた。夢であるから整合性も脈絡もない。ひとり山道を歩いていたら、いつの間にか石の河原を歩いていた。乳色の靄のようなものがかかっていて、水の流れる音のする方へ行くと川岸に小舟がありヒトが数人乗っていた。なぜかシンとしていて誰もひと言も話してはいない。
船の側には誰かか立っている。顔は見えぬがヒトではないのを感じる。おそらくこの者は、どこから来たのでもなく、どこに行くのでもなく、永遠に眠ることも休むこともなく、ここで生きもせず死にもせず、やって来たヒトを船に導いているのだ。
私も船に乗ろうとしたが、乗るための小銭がなく船は行ってしまった。と、ここで目が覚めたのである。あぶない、あぶない、もうちょっとで渡るところだった。
まあこんなベタな夢は見ようと思ってもそうそう見られるものだはなく、だいぶ話を膨らませてあるが、今回の入院はそんな夢を見てもおかしくないくらい重かったと、言いたかったのである。
黒澤明監督、映画『生きる』のラストで志村喬が唄う「ゴンドラの歌」の場面が自分に重なって見えたもの。
いずれにせよ、これからは明日の命はどうなるかわからない、と思い知った9日間だった。
今日まで娘やN井さんに手伝ってもらう。今年は4月がなかったような気分だ。
今回の入院で、体重がかなり落ちた。鏡を見ると頬がすっきりしているもの。痩せたというのか病気でやつれたというのかはわからぬが、入院中は普通食ですべて完食していたので食べないで痩せたのでない。もちろんアルコールを抜いたのも大きいと思う。
この体重を維持してさらにあと数キロ絞ればかなり希望の数値に近づくことになる。復帰に向けて明るい材料である。残り5日分の薬を飲み終えれば完全復調の予感はする。
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