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野川の桜もよいが、飛行場の通りの桜も数は多い。
気温が20℃を超えていて初夏のようだ。あちらの木もこちら木も桜の木だったんだ、と目移りし心が浮き立つ自然のお祭りである。
三年前に書いた新渡戸稲造の著書からの抜粋を再掲する。
以下
新渡戸稲造が著した『BUSHIDO』The soul of Japanという本がある。1899(明治32年)アメリカのフィラデルフィアで英文で出版され世界各国で版を重ね、セオドア・ルーズベルト大統領は一読して深く感動し、知人に広く送呈した話は有名である。この『武士道』で桜について書かれた文がある。
サクラの花の美しさには気品があること、そしてまた、優雅であることが、他のどの花よりも「私たち日本人」の美的感覚に訴えるのである。
私たちはヨーロッパ人とバラの花を愛でる心情をわかち合うことはできない。
バラには桜花のもつ純真さが欠けている。
それのみならず、バラは、その甘美さの陰にとげを隠している。
バラの花はいつとはなく散り果てるよりも、枝についたまま朽ち果てることを好むかのようである。
その生への執着は死を厭い、恐れているようでもある。
しかもこの花はあでやかな色合いや、濃厚な香りがある。
これらはすべて日本の桜にはない特性である。
私たちの日本の花、すなわちサクラは、その美しい粧いの下にとげや毒を隠し持ってはいない。
自然のおもむくままにいつでもその生命を棄てる用意がある。
その色合いはけっして華美とはいいがたく、その淡い香りには飽きることがない。
草花の色彩や形状は外から見ることしかできない。
それらはその種類の固定した性質である。
しかし草花の芳香には揮発性があり、あたかも生命の呼吸に似てかぐわしい。
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